パンクとバーストのちがい
コラム
このところ、道路に落ちているモノが増えたと感じているのですが、私だけでしょうか?昨年は初めて釘を踏んで、買ったばかりのクルマがパンクしました。今年は道路に捨てられていたアルミ缶を踏んで自転車のタイヤがパンクしました。
先日は幹線道路にバンパーの一部が落ちていたし、昨日は道路わきに落ちていたコンパネを踏んでしまいました。道路わきで寝ていた人を初めて見たのですが、それは踏まずに済みました。
釘、アルミ缶、バンパー、コンパネ、酔っ払い。道路上に世の中のあらゆるガラクタが落ちている昨今。こういったガラクタを踏んで、まず心配になるのはクルマへの影響です。具体的にはタイヤやサスペンション、ボディへの損傷が気になるところです。
特にタイヤには致命傷になることがあります。今回はタイヤがダメージを受けてしまったときに起こりうる、「パンク」と「バースト」に関する話題をお届けします。
目次
【パンクとバーストのちがい】
パンクとバーストには明確にちがいがあります。いずれもタイヤにダメージが入った場合に起こりえる事象です。
パンクとは、釘や異物が刺さるなどしてタイヤに小さな穴が開き、空気が徐々に抜けていく状態を指します。多くの場合、走行中すぐに気づかず、空気圧低下によってハンドリングの違和感や警告灯で発覚します。
バーストとは、走行中のタイヤが内部圧力や外的ダメージに耐えきれず、一気に破裂・損傷する状態です。高速走行中に発生すると急激に操縦安定性を失うため、非常に危険です。
【一般道でパンクしてしまった場合】
走行中にパンクしてしまった場合、ハンドリングや乗り心地に違和感を覚えるはずです。具体的には、「ダンダンダンダン……」という振動がステアリングに感じ取れます。またスピードが乗りにくく、左右に振れたりする現象が起こります。
つまり、直ちに走行不能になるというわけではありませんが、著しく運転が難しくなります。アメリカの警察が、逃走車両に向けてトゲの付いたベルトを放り投げるシーンを見たことありませんか?あれは「スパイクストリップ」と言って、それを踏ませることによってタイヤをパンクさせて、遠くまで逃げられないようにするためのものです。
一般道でパンクを認識したら、ハザードを焚き徐々にスピードを落としながら、焦らず最寄りの安全な場所にクルマを移動させましょう。安全な路肩や店舗の駐車場だったり、空き地などにクルマを避けることになります。
安全に停車してから、自分でスペアタイヤや修理キットで対応するか、ロードサービス等に連絡しましょう。
また、自力走行が可能な場合は最寄りのタイヤショップや整備場に入るのも手段です。
【高速道路でパンクしてしまった場合】
高速道路でパンクが起きた場合は、走行に支障がなければ最寄りのサービスエリアまで移動し、スペアタイヤに交換するかロードサービスを手配しましょう。応急修理キットは高速走行を想定していないため、使用は控えてください。
近くにサービスエリアがない場合は、ハザードランプを点灯させて速度を落とし、非常駐車帯または路肩に停車します。この際、橋やトンネルでの停車は避け、できるだけ幅の広い安全な場所を選びましょう。
停車後はハンドルを大きく左に切り、車道側を避けて左側から降車します。周囲の交通状況を確認し、後続車が途切れたタイミングで発炎筒や三角表示板を設置したら、速やかにガードレールの内側へ避難してください。
安全な場所に移動した後は、道路緊急ダイヤル(#9910)または110番に通報し、異常が発生していることを知らせます。その後、ロードサービスへ連絡しましょう。
近くに非常電話がある場合は、受話器を取ると道路管制センターへ直接つながります。トラブルの状況や負傷者の有無などを落ち着いて伝えてください。
110番や道路緊急ダイヤルに連絡する際は、故障場所を正確に伝えるため、「キロポスト(距離標)」に表示された数字を伝えるとスムーズです。キロポストは道路の起点からの距離を示す標識で、路肩や中央分離帯など見やすい位置に設置されています。通報前に確認しておくとよいでしょう。移動する際は、通行車両や足元に十分注意し、ガードレールの外側など安全な場所を通行してください。
判断の基本は「無理をしないこと」です。空気圧の低下が緩やかで、走行安定性に大きな違和感がなく、異音や強い振動もなく、低速で安全に走れる状態であれば、出口が近い場合は一般道に降りてから停車した方が安全で作業もしやすいことがあります。
一方、無理に走行を続けると、パンクがバーストに発展する恐れがあります。
「出口が近いかどうか」ではなく、「そのまま安全に走行できる状態かどうか」を基準に判断することが重要です。
【パンクの修理方法】
さて、もし走行中にタイヤがパンクしたら、あなたはどうしますか。
慌てる必要はありません。もっとも、適切な対応を取らなければ、事態はあっという間に面倒な方向へ進んでしまいます。重要なのは、状況を冷静に見極め、その場に合った方法を選ぶことです。ここでは、タイヤがパンクした際に考えられる、代表的な4つの対処方法を見ていきましょう。
① スペアタイヤに交換する
タイヤ交換と聞くと、工具を前に途方に暮れる人もいるかもしれません。しかし実際のところ、正しい手順さえ守れば、そこまで大騒ぎする作業ではありません。
ジャッキで車体を持ち上げ、パンクしたタイヤを浮かせます。ナットを緩めてタイヤを外し、スペアタイヤを装着してナットを締める。最後に車体を下ろせば完了です。
とはいえ、「自分には向いていない」と感じたなら、その直感はたいてい正しいものです。無理をせず、ロードサービスに任せるのが賢明でしょう。
② パンク応急修理キットを使う
最近の車は、軽量化やコスト削減の名のもとに、スペアタイヤを持たないことが増えました。その代わりに積まれているのが、パンク応急修理キットです。
ただし、損傷が大きい場合や、トレッド以外が傷ついている場合には、まったく役に立たないのです。あくまで「その場をしのぐための手段」なので、使用後は早めに修理、もしくは交換を行う必要があります。
③ 近くのお店に立ち寄る
空気が完全に抜けておらず、短い距離なら走れそうな場合は、近くのカー用品店やガソリンスタンドに向かうのも一つの方法です。ただし、「まだ大丈夫」と判断して走り続けるのは非常に危険です。
④ ロードサービスを呼ぶ
近くにお店がない、または営業時間外の場合は、ロードサービスを呼ぶのが安心です。
自動車保険に付帯しているロードサービスなら、24時間対応していることが多く、現場でのタイヤ交換や応急処置、必要に応じてレッカー移動まで対応してくれます。困ったときの心強い選択肢です。
【パンクを放置して走り続けたらどうなるのか】
タイヤがパンクしても、実際にはごく短い距離であれば走行できる場合があります。
これは、タイヤが空気だけでなくゴム自体の弾力によっても衝撃を和らげているためです。
ただし、これはあくまでその場に停車できない緊急時に限った話です。やむを得ず走行する場合は、速度を大きく落とし、安全な場所まで移動したうえで、パンク修理やスペアタイヤへの交換を行ってください。
パンクしたタイヤは、しぼんだ風船のように形を保てなくなり、グリップ力はほぼ失われた状態になります。そのため、ハンドルを切っても思うように曲がらず、ブレーキを踏んでも十分に減速できません。安全な場所に停車するまでは、極めて慎重な操作が必要です。
この状態で走り続けると、やがてタイヤが裂け始めます。空気のクッションを失ったタイヤは、車体と路面の間で強く押し潰され、内部にあるカーカスが破断します。その結果、タイヤは形を保てなくなり、いわゆるバースト状態へと進行します。
タイヤが裂けると、破れたゴムがホイールハウス内を叩き、異音が発生します。ここまで来るとタイヤは完全に使用不能で、これ以上の走行は非常に危険です。走り続ければ、ボディや足回りに深刻なダメージを与えるおそれがあります。
さらにタイヤが完全に崩壊すると、ホイールのリム部分が直接路面に接触します。この状態ではグリップはまったく得られず、ホイール自体も大きな衝撃を受けて歪みます。そしてホイールの交換が必要になるケースがほとんどです。
バーストしてしまった場合
バーストとは、走行中にタイヤが突然破裂する現象のことです。 発生時には「バン!」という大きな音がし、タイヤが一気に損傷します。バーストが起きると、ハンドル操作が困難になり、状況次第では重大な事故につながるおそれがあります。
タイヤが破裂すると、車は本来の安定性を失います。ハンドルがとられて思わぬ方向へ進んだり、ブレーキ性能が大きく低下したりするためです。特にカーブ走行中にバーストが発生すると、反対車線や歩道にはみ出す可能性が高く、接触事故や人身事故につながる危険があります。また、破裂したタイヤのゴム片が周囲に飛び散り、ほかの車両を傷つけるケースもあります。
万が一バーストが発生した場合、最も重要なのは慌てないことです。
大きな音や強い振動に驚いて急なハンドル操作や急ブレーキをすると、車の挙動をさらに乱してしまいます。まずはハンドルをしっかり握り、バックミラーやサイドミラーで周囲の状況を確認しながら、徐々に速度を落とすことを意識してください。特に高速道路では、急ブレーキは後続車を巻き込む事故につながるため厳禁です。
落ち着いて減速しながら、路肩や駐車スペースなど、安全に停車できる場所へ移動します。
高速道路や自動車専用道路では、停車後に三角表示板(停止表示板)を設置することが義務付けられています。追突事故を防ぐためにも、必ず設置しましょう。なお、カー用品店やガソリンスタンドが近くに見えても、バーストした状態で走り続けるのは危険です。「少しの距離だから大丈夫」と考えず、必ず安全な場所で停車してください。
一般道でバーストし、スペアタイヤを搭載している車であれば、スペアタイヤに交換します。その際、スペアタイヤの空気圧が適正かどうかを必ず確認してから装着してください。一方で、パンク修理キットはバーストしたタイヤには使用できません。タイヤ自体が大きく損傷しているため、修理キットでは対応できないのです。この場合は、JAFなどのロードサービスに連絡し、到着を待ちましょう。
目的地までの距離がどれほど短くても、バーストしたまま走行するのはNGです。
ハンドル操作や制動が思うようにできないだけでなく、ホイールが路面と直接接触し、ホイールや足回りを損傷させる可能性があります。その結果、修理費用が大きく膨らむこともあります。
二次被害を防ぐためにも、無理に走らず、スペアタイヤへの交換やロードサービスの利用を最優先にしてください。
【スローパンク|パンクに
いち早く気づく方法】
スローパンクとは、タイヤに小さな穴が開き、空気が少しずつ抜けていく状態のことです。 一気に空気が抜けるわけではないため、見た目や運転中の感覚にすぐ変化が出ません。このため、気づきにくいパンクといわれています。細い釘や鋭い異物がタイヤに刺さっていても、タイヤが急にしぼむことはありません。走っていても違和感を覚えにくく、「特に問題ない」と思ったまま使い続けてしまうケースが多いのです。
しかし、気づかないうちに空気は確実に減っていきます。知らずに走り続けると、タイヤの性能が落ちたり、思わぬトラブルにつながることがあります。
そういったタイヤの異常にいち早く気づけるためにも、日常点検が重要になってきます。例えば、空気圧チェック。マメにチェックをすることで、空気の抜けが早いタイヤに気づけるわけです。
https://www.maluzen.com/column/where-do-I-go-to-get-my-tires-inflated.html
また、目視でタイヤのチェックをするのも予防になります。 タイヤの表面に釘や異物が刺さったまま走り続けると、タイヤの中まで傷が広がり、バーストしてしまうことがあります。そのため、ドライブの前後にはタイヤを軽く見て、異物が刺さっていないか確認する習慣をつけましょう。特に、未舗装の道や工事現場の近くを走ったあとは、念入りにチェックすることが大切です。
もし異物を見つけても、自分で無理に引き抜いてはいけません。その場合は、カー用品店や整備工場などの専門店に相談するのが安全です。ちょっとした確認と正しい対応が、大きなトラブルを防ぐことにつながります。
【バーストを未然に防ぐためにできること】
① 空気圧の確認
タイヤのバースト原因として特に多いのが空気圧の不足です。空気圧が低い状態で走行を続けると接地面積が増え、高速回転時にスタンディングウェーブ現象が発生しやすくなります。
一方で、空気圧が適正値を超えて高い場合でもバーストの危険があります。空気圧が高すぎるとタイヤの柔軟性が失われ、外部からの衝撃に弱くなるためです。タイヤの空気圧は、常に適正値を維持するよう心がけましょう。
https://www.maluzen.com/column/where-do-I-go-to-get-my-tires-inflated.html
※スタンディングウェーブ現象
空気圧が不足した状態で高速走行すると、タイヤの側面が波を打つように変形することがあります。これをスタンディングウェーブ現象といい、この状態が続いたまま走行すると、バーストに至るおそれがあります。
② タイヤの状態を目視で確認
タイヤはゴムの劣化によってもバーストする可能性があります。ゴムは使用していなくても経年劣化し、特に紫外線や熱の影響を受けることで劣化が進み、硬化します。ゴムが硬くなると、サイドウォール(側面)にひび割れが生じやすくなります。
また、摩耗が進んだタイヤもバーストのリスクが高まります。溝の深さが1.6mm未満であることを示すスリップサインが現れた場合は、速やかにタイヤを交換してください。
さらに、縁石への乗り上げなど、外部からの強い衝撃が原因となる場合もあります。直後に異常がなくても、タイヤにこぶ状の膨らみ(ピンチカット)が発生すると、内部構造が損傷し、空気圧を保持できなくなってバーストに至ることがあります。
ドライブの前後にはタイヤを軽く目視し、劣化や損傷がないか確認する習慣をつけるとよいでしょう。
③ 過積載を避ける
荷物の積み過ぎなどにより車両重量が増えると、タイヤへの負担が大きくなります。その結果、タイヤ内部に熱がこもり、内部のコード(補強材)が損傷してバーストするおそれがあります。車種ごとに自動車メーカーが定めている最大積載量を超えないよう注意しましょう。
④ 冬用タイヤの通年使用を避ける
冬用タイヤは、夏用タイヤよりも柔らかいゴムで作られています。そのため、路面温度が高くなる夏季に冬用タイヤを装着したまま走行すると、タイヤが過度に変形しやすくなり、バーストの危険性が高まります。
【ランフラットタイヤ】
ランフラットタイヤとは、走行中にパンクして空気圧がゼロに近い状態になっても、一定距離・一定速度(一般的に約80km以内・80km/h以下)で走行を継続できるタイヤのことです。通常のタイヤでは、空気が抜けるとサイドウォールが潰れて走行不能になりますが、ランフラットタイヤは構造そのものが異なります。
メリットは高速道路やトンネル内でも、すぐに停車する必要がなく安全な場所に移動しやすいことや、突然のバーストによる挙動変化を抑えられます。一方で、サイドウォールが硬いため、乗り心地がやや硬く感じられることがあります。
ランフラットタイヤの特性上、パンクの判断が難しくなるのでTPMS※を前提とした装着が基本です。(一応、装着していないクルマでもランフラットタイヤは利用可能)
※TPMS:タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム。タイヤの空気圧や温度をセンサーで監視し、空気圧が低下するなど異常があった場合にドライバーに警告する安全システムのこと。
よくある質問
Q.バーストしてしまった場合、修理は可能ですか?
タイヤがバーストした場合は修理できません。
空気漏れを一時的に塞ぐパンクとは異なり、タイヤ本来の強度や安全性が失われています。外見上は小さな損傷に見えても、内部では深刻なダメージが生じており、修理によって安全に使用できる状態へ戻すことはできません。安全確保の観点から、バーストしたタイヤは必ず新品タイヤへの交換が必要です。走行中にバーストが発生した場合は、無理に走り続けず、安全な場所に停車し、スペアタイヤへの交換やロードサービスを利用してください。
Q.ランフラットタイヤはパンク後どれくらい走れますか?
一般的に約80km以内・80km/h以下です。
まとめ
道路上には、釘や金属片といった小さな異物から、バンパーや木材のような大きな落下物まで、さまざまな危険が潜んでいます。こうしたガラクタを踏んでしまった際、クルマにもっとも深刻な影響が及びやすいのがタイヤです。
本記事で解説してきたとおり、「パンク」と「バースト」は似ているようで、性質も危険度も大きく異なります。
パンクは空気が徐々に抜けていく現象で、早期に気づき適切に対処すれば、大きなトラブルに発展する可能性は低く抑えられます。一方、バーストはタイヤが一気に損傷・破裂する非常に危険な状態で、特に高速走行中に発生すると、重大事故につながるリスクがあります。
重要なのは、
・違和感を覚えたら無理をしないこと
・状況に応じて安全最優先で行動すること
・「まだ走れる」という判断が、事態を悪化させる場合があること
そして、こうしたトラブルの多くは、日常的な点検と基本的な知識によって未然に防ぐことが可能です。空気圧の管理、タイヤの目視点検、過積載の回避、季節に合ったタイヤ選び。これらはどれも特別な技術を必要としない、現実的で効果的な予防策です。
パンクもバーストも、起きてから対処するより、「起こさない」ことが何より重要です。
日々の運転の中で、タイヤに少しだけ意識を向ける。その積み重ねが、クルマと乗る人の安全を守る確かな備えになります。
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