【コラム】タイヤ・ホイールで見るジャパンモビリティショー関西2025
コラム

ご縁があり、モビリティショーの招待券をいただいた。私が最後にモーターショーに行ったのは、R35 GT-Rがデビューした2007年。その時のことは未だにはっきり覚えているが、既に20年近く経っているのかと思えば、時の流れの速さに驚きを隠せない。
当時小学生だった私も所帯を持ち、今回は立派な自動車ユーザーとしてJMSに訪れた。展示車両の見え方も変わっただろうか?
いち社会人として、仕事に有益な視点で展示を見てみようと思った。
なので、表題の通り「タイヤ・ホイール」に注目してみた。
目次
MITSUBISHI ELEVANCE Concept

三菱自動車のブーステーマは『FOREVER ADVENTURE』
走る喜びにフォーカスした、冒険心を呼び覚ますモビリティライフの提案を意図したもの。
その中の一台が、『MITSUBISHI ELEVANCE Concept(ミツビシ エレバンス コンセプト)』
デザインスケッチからそのまま飛び出してきたようなスタイリングとクアッドモーター4WD式の独自の四輪制御技術。配色や流れるような曲面に気品を感じる一方で、張り出しはマッチョで無骨。エレガントでありながら冒険心を掻き立てるコンセプトは、さながら『走るグランピング』

タイヤは285/45R22とかなり大きく、履いているグラントレックのトレッドパターンは見たことのないものだった。ヌルっとした球面感が車体全体に未来を感じさせ、タイヤに近づけばキャタピラのような力強さもある。

ホイールもまた、走破性の高さを印象づける。センターキャップは遠目に四角く、サイドウォールにまで突き出たスポーク。エレバンスには、前輪にインホイールモーター、後輪は2個のモーターを協調制御する技術の「デュアルモーターAYC」で走破性を高めている。
突き出たスポークは、まさにモーターがタイヤを掴んでいて、強烈なトラクションを与えようとする意志を表現しているようだ。
DAIHATSU・K-OPEN

「コペンを再発明する」という標語で今回のショーに出展。
コペンとしては「ランニングプロト」と「スタディモデル」の2台を展示していて、前者は走りの検証と後者はスタイリングの検証。

走りのコンセプトは「軽自動車こその楽しい走り」で、軽量化・低重心・FR化(最適な重量配分のため)が目玉だ。エンジンはハイゼットのものを縦置きした直列3気筒ターボ。これがK-OPENのスタイリングの話にも繋がる。
今までのコペンと比べてかなりワイド&ローに見えるが、軽自動車規格にしっかり収めている。また縦置きエンジンは低くマウントし、リアに向けてドライブトレーンを伸ばしている。これにより、フロントオーバーハングを短く絞ることができ、さらにロングノーズに説得力が増している。

ベルトライン(窓下から中央に位置するボディライン)を下げ、アウトレット(ドア前にある空気の抜け道)の黒が全体の低さを強調している。ヘッドライトやテールランプの造形とパーティングライン(ボディの継ぎ目)の工夫でワイドに見せている。詳しく書くと長くなるので、かなり端折っている。ただ色も相まって、ぱっと見「かつてのドイツ車じゃないか」と思わせる軽自動車だ。

やっと足元に焦点を当てる。タイヤ設定は165/50R16。現行型と同じタイヤサイズでありながらも、パツパツむちむちに見える。ホイールアーチの間隔とホイールキャップが張り出ていることで引っ張りタイヤのような踏ん張り感を演出しているのだろうか。

実走モデルがあって、デザインもかなり洗練されたK-OPEN。このクルマがある未来が私にとって最もワクワクするものだ。
DAIHATSU・ミゼットX

シトロエン・2CVを風景に収めれば、なんとなくフランスっぽさを醸し出せるせるように、ミゼットは日本・昭和・レトロのそれだろう。そして平成にはミゼットⅡに進化し、令和の世に『ミゼットX』が発表された。

運転手をキャビンの中央に配置する超小型モビリティでありながらも、チャイルドシートを後ろ左右に一個ずつ載せている3人乗りだ。ドアはスーサイドドアになっていて、ステアリングもバタフライ型と先進的だ。一方で、角を無くした全体的に丸みを基調とし、内外装ともに親しみやすさを感じる。まるで鳥山明の作品からそのまま飛び出てきたようなコミカルなクルマだ。

フェンダーはケーターハムと同様、ボディから切り離されている。そこに収まるタイヤは小さく、これまた赤箱トミカのようなホイールキャップが入っている。子どもの送迎や近所の宅配などに使うことを想定しているそうなので、この親しみやすさは風景にマッチしているだろう。
販売までに安全性の課題など様々あるらしいので、そのまま発売は難しいらしい。

一人乗り用の超小型自動車はこれからの社会にどう受け入れられていくのだろうか。90年代後半のミツオカMC-1に始まりトヨタ・コムスなど、これまでにも様々な一人乗りミニカーが発売されてきた。もっと需要が高まるのか、今までのように「たまに見るよね」程度なのか……。
ただ、ミゼットやミゼットⅡは町で見かけたときについ嬉しくなってしまうのはなぜだろうか。
HONDA Super-ONE prototype

現行N-ONE e: をベースに、よりスポーツ志向に進化させたプロトタイプ。
張り出たオーバーフェンダーが一目でその方向性を主張している。
ちなみに、同年の「Goodwood festival of speed」にて走行した実績もあるクルマだ。

ベースとなるN-ONEやN-ONE e: を始めとするホンダの「Nシリーズ」は同社の軽規格ラインナップだ。このクルマは「N」のくびきを断ち、オーバーフェンダーとさらなるパワーを備えて軽自動車枠から抜け出た。

タイヤもアドバンフレバの205/45R16が入っており、パワーを受け止めるために並みのコンパクトカーよりも太いタイヤが入っている。削り出しホイールもスポーティなブラックで引き締まっている印象だ。どっしりと構えた様はかつての「シティターボⅡ ブルドッグ」を彷彿とさせる。
社内での通称も「ブルドッグ」だそうだが、誰彼構わず吠えまくるパグのような愛嬌がある。シビックに噛みつけ!GR86をやっつけろ!
MINI Cooper Paul Smith edition

これはお気に入りの現行車で、つい立ち寄ってしまったミニのブース。
愛嬌のある見た目は既に発売されている現行ミニ・クーパーと変わりはないのだが、象徴的なデザインで知られるポール・スミス氏とのコラボレーションモデル。アイコニックなストライプのあしらいや限定色が追加されている。

センターキャップに「Paul Smith」のロゴが入っている。ただ展示車両のホイールは黒メッキ処理がされていたのだが、通常の現行ミニのオプションホイールは非常にかわいらしい。

ぜひ欲しい一台だ。
番外編|SLRマクラーレン &
マクラーレン・セナ &
GT3 RS

実物を見たのは初めてで、つい子どものようにはしゃいでしまった。このクルマのラジコンを持っていたのも覚えている。「将来はこんなクルマに乗るんだ」と言ったものだが、私がこんなクルマを買ったら、たちまち破産だ。

19インチの軽量アルミホイール
初代bBのホイールに似てない?
そしてこれも近くで見たのは初めてのセナ。

当然だが、とてつもなく速そう。

タイヤはセナ専用設計のピレリ製「トロフェオR」

そしてGT3 RS。
「どこかでお会いしましたっけ?」と言いたいところだが、これもとてつもなく希少でハイエンドなクルマ。

センターロック付き鍛造マグネシウムのBBSホイール。ホイールオプションだけで私のクルマが買えてしまいます。ケッ。
しくじった話|自分は時代
遅れだと認知するべきだった
ひとしきり展示を見た後、気になっていたボルボのブースに立ち寄った。かねてよりXC90に興味があり、これを機に内外装をじっくり見てみようと思った。というのも、初期型のXC90からパッケージングの良さや安全性についてはかなり惹かれるものがあったからだ。なにより、初期型は力強いV8を搭載している。
というわけで、新型のXC90にも並々ならぬ関心があったので展示車両を見てみた。クルマに近づき、外から後部座席を覗き込む前に営業さんがどこからともなく現れた。
「ボルボに興味がおありでしょうか?何人家族でしょうか?3人?だったらXC60やもっと小さいモデルやEVモデルもおすすめですよ!」
『えっと、XC90に興味がありまして……。ところで今もV8のモデルってあるんですか?』
「V8?V8とは何ですか?」
『えっと、ガソリンエンジンの……』
「ガソリンエンジン!ございますよ~!2000ccのマイルドハイブリットで……」
『2000㏄のV8……?』
「えっと、V8とは何のことでしょう?」
『えっと、エンジン形式の一つで……。いえ、何でもありません!ハイブリット、良いですね!PHEVも気になってたんですよ!』
危うく、無関係の営業さんに「V8とは何か」を語る厄介な来場者になってしまうところだった。今日び、V8よりもPHEVの方が高出力で効率の良いエンジンだろう。諸元表によると、かなりよさげに見える。実際、内外装、スペック共にかなり魅力的だ。
しかし、私の中の「無敵のV8」は20年のうちに世間では随分廃れてしまったようだった。
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